第05話2021年04月09日

なぜ信州農家を応援するのか?

3年前から、信州茅野市にある農業法人「信州農家 代表 立石啓二」を応援していています。現地に5~6年前から入り込んで農業経験を積んできた若者(といっても30~40代ですが、農業界では明らかに若い労働力)数名が、自分たちで農業をビジネスとしてやってみたいので手伝って欲しい、と、私の先輩を通じて頼んできたのです。その時の立石社長の言葉は、「自分達は一生懸命農業をするので、日本の普通のサラリーマンのような給与を取れる会社はできないだろうか?」というものでした。それはそうだと思い、お受けすることにしました。

 

私は、人に指南できるほど経営の経験が多いわけではありませんが、小さくても会社を経営する難しさや失敗の経験は数多くあり、何らかの手助けはできると思いました。それに、地元の農業従事者、事業経営者、銀行家など、こちらは私より経験の多い地元の有力者の方々からも「協力するから」とのことで、地元の人たちと一緒に農業を事業化するというテーマに協力することにしたのです。

 

 

3年経ちましたがなかなか農業の事業化は難しいと感じています。既存の仕組みががっちりできていてその仕組みのなかでは日本のサラリーマン的ファミリー農業なら何とかやっていける仕組みや補助金が網の目のようにあり、それをやっている限りは農業はできるけれど、起業家としてはなかなか成功できない。実際にはある程度資本的パートナーや経営経験者がいないと大型化、効率化は難しいのです。従って通常の農業はファミリーでやっていて普通のサラリーマンのような給与は出せていないのが現実のようです。でも農業には不思議な魅力があって自然の中で作業をする幸せやきちんと育てると確実に返してくれる植物の収穫の喜びなどオフィス勤めとは全く違う仕事の価値があるのも事実なのでそのまま続けている人が多いと思います。

 

特にこの茅野市の蓼科高原の農地は八ヶ岳の美しい景色を眺めながら、美味しい空気ときれいな水に囲まれた農地での作業で関わる従業員の皆さんも健康そのものです。農業従事者が少ない農家から多くの農地を預かり信州農家は4人で50町歩(50万平米!)の田畑を耕作しています。毎日驚くほど車で走り回り忙しい時には朝から晩まで長時間労働です。ですが3年見ていて農業の事業化にはまだまだ難しい点があります。まずは現状を変えることにモチベーションを沸かせない仕組みががっちりあって、それを変えることがことのほか面倒でなかなか行動に起こしづらいところです。そして農業者の方もほぼずっと家族経営でやってきているため、積極的資金調達のために金融機関や投資家に説明する機会もあまりなかった。そのために必要なガバナンスや透明性を持たせた経営形態を学ぶ機会も少なかったことにも起因していると思います。そのためなかなか十分な利益を出せる体制にできず家族経営のままズルズル続けている農業が多く、だから若者は直感的に地球環境にもいい仕事で参加したくてもできないのが地方農業の実態ということではないでしょうか。

 

まあ、我々がどれだけお手伝いできるか未知数ですが今後時々信州農家の事業の成長をお伝えしていきたいと思います。